紙はエコな素材? – 持続可能を目指した授業での取り組み

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2021年7月6日火曜日、中山商事株式会社(福井市)、アジア紙加工研究会、福井大学大学院、そして私が所属する仁愛女子短期大学の研究室のメンバーで「紙」をテーマに、脱プラスチック、サスティナブルな社会・ビジネスを考慮した新製品・新サービスについての意見交換会を実施しました。

この交流会は、福井大学産学官連携本部「技術経営のすすめ」を受講している大学院生19名、仁愛女子短期大学「専門演習(ゼミ)」を受講している3名が6つのグループに分かれて、紙を使った新しい商品・サービスのあり方について提案等をおこなうというもの(短大をメイン会場に、タイ・バンコク、東京、鳥取、広島、そして遠隔で参加の学生がZoomで接続しての開催となりました)。

そして、この交流会(意見交換会)から1か月前の6月1日、福井大学産学官連携本部「技術経営のすすめ」の授業にて、中山商事㈱中山裕一朗社長に講演をいただき(仁愛女子短大生は遠隔で視聴)、アジア紙加工研究会の取り組み、中山商事の紙製品に関する取り組み等をご紹介いただきました。

写真:中山社長の講演の様子

「紙」という我々が当たり前に使っている製品ですが、サスティナビリティ、そして、脱プラスチックという点からも再び注目を集める「紙」について、福井大学大学院生は講義の中で5つのグループに分かれて、仁愛女子短期大学生はゼミ活動の一環として、それぞれ取り組んできました。

このような交流会は、コロナ禍における遠隔授業だからこそ実現できたことであり、よく言われる、「仕方なくオンライン」とか「オンラインだから〇〇できなかった、、、」ではなく、「オンラインだからこんなに良くなった!」「オンラインだから実現できた!」という授業デザインになったのではと自負しています。

 

紙はエコ?それとも環境によくない?

今回のテーマ「紙」ですが、紙といえば、ハイテクというイメージもなく、我々があたりまえに普段から触れている素材。そして、なくてはならない素材でもあります。おそらく、生活の中でなくなって一番困るのが紙。

 

私が子供のころは、「紙」を使うのはダメで、プラの方がエコといったような印象で教育されてきた世代。繰り返し使えるプラスチックの方がよくて、紙は使い捨てられたり、森林伐採のイメージが、、、

 

私より年配の方々だと記憶にあるかもしれませんが、スーパーとかだとビニール袋ではなく紙袋なんていう店もあった記憶が。日本はいち早くビニール袋でしたが、私がアメリカに住んでいた1998~2000年ころにはアメリカではまだ紙袋の店がたくさんあったと思います。それがすっかりとビニール袋に置き換えられて、その後、代替品であったビニール袋が今度は環境に悪いと非難の的に。今はそのプラスチックから紙に回帰で、紙のストローまで登場。でも、先日の授業では、紙業界の方々が大集合だったので、コスト的にも厳しいということも学べました。

 

教育とはそういう意味で怖くもあり、大事です。

時代とともに常識も変わるので、自分たちの知識もそれらに合わせてブラッシュアップしていかなければいけないと思いますが、今は「紙」がエコとして注目を集めている時代。確かに、マクロな視点で見れば、紙は土にかえっていきます。一方で人工的に生成されたブラスチックは土にかえりにくく、燃焼することで有害な物質も発生します。

実は、大学時代は法学部で卒業研究として紙ごみのリサイクルシステム(制度的な仕組みの方のシステムです)を研究していました。当時、ゼミの仲間とその研究成果を冊子として出版したことを思い出しました。そして、30年近くが経過して、自分が再び、こんどは大学教員として「紙」について考える機会を得たのは不思議な縁を感じます。

写真:地元紙に紹介していただいた記事(一部)

日本は昔から持続可能社会?!

思い返せば、その当時から日本は紙のリサイクル率が高く、かつ、今よりも経済ベースでちゃんとリサイクルが成立していた時代。

今は人件費が上昇し、かつ、資材の価格が低下しているので、昔よりもビジネスとしてのリサイクルがうまく回らなくなっているのではないかと思います。最近では「サスティナブル」なんていう横文字がはやりですが、日本はずっと昔から持続可能な社会として循環していたと思うのです。

 

継続性という意味ではビジネスとしてちゃんと循環するということは大事。それがビジネスとして成り立たなくなり、仕組みが崩れてきたからこそ、今、サスティナブルなんていう言葉を持ち出して、それらを再定義し、行政が大きく介入し、、、という状況になってきているように感じています(このあたりの社会制度は、最新のものを自分で調べて検証していないので、当時と比較した私の主観です)。

 

そういう視点でも今回の取り組みは私にとって大きな学びとなりました。

 

今回、中山商事の中山社長をはじめ、多くの方々のご協力、ご参加で実現した企画。そして、地元紙でも大きくご紹介していただけました。本当にありがとうございました!

 

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