これまでは、ゼミ活動や授業に関する授業のオンライン化についていろいろと書き記してきましたが、実は一番ハードルの高い授業(?)がありました。それが、「新入生のオリエンテーション」。
在学生であれば、たとえ面識がなかったとしても、大学のLMS(学習管理システム)やメールシステムにも触れているはずですし、これまでの学習環境の延長が遠隔(オンライン)に変わっただけなので、それなりの対処の仕方があります。
一方で、新入生となると話がちょっと変わってきます。
画面の中で授業を見せるだけがオンライン授業ではない
これまで高校のような教室を主とした授業スタイルで、スマートフォンなどを教室で使うことも禁止されている環境。新入生同士の横のつながりもあるかどうかよくわからない状況で、大学のメールを見てもらえるのか?LMS(学習管理システム)にログインしてもらえるのか?多くの教員でさえあまり理解しているとは思えない遠隔授業の様々なスタイル(同期型、非同期型)に慣れてもらえるのか?など、考えだしたらきりがありません。
新入生オリエンテーションをする意味というのは大学によって様々なのだと思いますが、結果的には学習コミュニティができることだと思っています。見知らぬ者同士が知り合いになり、情報を交換し、大学(学部・学科・専攻)に対する帰属意識を高めていく。そうした関係や場づくりだと思うのですが、まだ会ったことのない新入生とどうやって場づくりをしていくべきか、会ったことのない学生同士をどうやって関係性をつくっていくべきか、いろいろと試行錯誤でした。(比較的大きな大学であれば、先輩学生がそのような場を取り持ってくれたりもあるかもしれませんが、地方の小さな短期大学だとなかなかそれも厳しいものがあります。)
そこで、まず専攻教員・スタッフの紹介動画を作成しました。普段だったら動画に出るのは絶対に嫌だ!と言いそうな先生も今回はOKの返事をいただき、専攻の「顔」と「メッセージ」をまだ見ぬ新入生に届ける努力からスタート(教員の手づくり動画です)。
その後、10分程度の授業履修に関する動画を何本か作成し、LMS(学習管理システム)に掲載。非同期型の双方向型オンライン授業をオリエンテーションで疑似体験してもらえるように、動画を閲覧後に簡易な課題(といっても、簡単な感想や目標などをオンラインテキストフォームに書いてもらう)を出し、学生の反応を確認できるようにする、、、などなどの仕組みを準備して大学から付与したメールアドレスに向けて連絡を行いました(メールアドレスの登録・確認方法は事前に教務担当部署からお手紙で通知済み)。
学生の高い順応性に感心!
我々の心配をよそに、LMSへのアクセスはたった1日で80%を超え、課題も返信が始まります。3日目でほぼ100%(この記事書いてる間に全員になりました!)に近い学生のアクセスが確認できたことには驚きました。課題も、パソコン環境でなくても書き込めるように、オンラインフォーム(テキスト)の形式で提出。すでに半数以上の学生が返送し、我々教員もその提出にコメントを書いてやり取りしているような状況。我々が心配するよりも、学生の方がずっと順応性は高いのだと思いました。
これらと同時に、同期型の授業での疑似体験もしてもらおうと、毎日2時間程度のオンライン・オフィスアワーと題して、気軽に学生と話ができる場をZoomを利用して設定。ここには、数名の専任教員と私のゼミ生(学生)が先輩として入り、学生たちとリアルタイムな会話を楽しみました。これは、事前に接続に慣れてもらうことで、スムーズに授業への移行できることも狙いとしてあります。
短大の方の公式ページでも紹介していますが、新入生からの前向きな反応に、準備した側としては喜びもひとしお。下記のような主旨の感想をもらえました。
オンライン授業は不安だけれど、このような感じで授業が進むことを知ることができた
大学は主体的な学びの場であるので、自分でしっかり考えながら学生生活を過ごしたい
学校に行けず大学生になった実感がわきませんでしたが、このガイダンスで短大生になったことを実感
特に、3つ目のコメント主旨にあるように、「学校に行けずに大学生になった実感がわ」かなかった学生を「実感」まで持ってこれたのは、物理的に顔を合わせていない学生たちとの間に、なんらかのコミュニティが形成されたことを実感しています。
教員の一生懸命は伝わる
短大の公式ページにもコメントさせていただきましたが、情報技術、ITというと無機質で冷たい印象かもしれません。しかし、情報という文字には「心」を表す文字が入っています。
改めて、情報は人と人の気持ちをつなぐツールなんだと思いました。
今後、このオンライン・オリエンテーションを継続的に行い、連休明けからは授業がスタートします。
以前も書きましたが、オンライン授業だから質が落ちた、、、とかではなく、今まではできなかった、オンライン授業ならではの質の高い授業展開を前期に進めていこうと思います。
新入生のみなさん、乞うご期待!