オンラインでもコミュニティを作るところからスタート

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前回は、とりあえず、授業にもいろいろあるよね、、、というところからスタートした記事(前回の記事はこちらから)を書きましたが、グループワークでも発表でも、オンライン独自のやり方・考え方で組み立て直さないといけないと思ったわけです。なので、取り急ぎ、一番はじめやすそうなゼミから、、、と思ったのですが、大事なことに気が付きました。

 

まだ授業が始まっていないということは、まったく顔を合わせない状況でどうやって、ZoomやSkypeなどの仕組みに決まった時間にアクセスしてもらうか。

 

対面でもオンラインでも、実践的なコミュニティや信頼関係が既に出来上がっていて、方法が確立されていれば簡単ですが、そういうコミュニティを顔を合わさずに構築しなければいけない難しさを感じました。特に、若い学生たちはリアルな実生活とリンクしたFacebookのようなオンラインコミュニティに参加している者は少数派です。

 

これまで、授業を考えるとき、Communities of Practice という考え方で組み立ててきましたが、アクティブラーニングをやるということは、教室内にコミュニティを作ることだ、と今回の件を通じて改めて再認識。そこからのスタートとなりました。

 

ステップ・バイ・ステップで少しずつ

対面であれば、一気に進むことも、オンラインだと勝手が違います。なので、回り道でも少しずつ学生にアプローチをしていくことにしました。

 

学習管理システムMoodleの画面(例)

まず、Moodleという学習管理システム(LMS)に授業の目的、流れなどを設定・登録。これで詳細な電子的なリアルタイムシラバスの完成です(シラバスシステムは別途あります)。私の勤務する短大の所属専攻では、ほぼ全教員がこのMoodleを活用して授業しているので、学生は日々の授業進捗、PDFなどの資料配布、課題の提出はこれでOK。これは普段からやっていることの延長です。

 

学生はパソコンでもスマホでもアクセスできますし、自分の勤務校の場合、学生にスマホのWIFIを開放しているので、むしろ積極的に授業中にスマホも活用した授業設計をしてきました。そういうこともあって、このMoodleというLMSにアクセスする環境はある程度整っています。(これができてない、、、という大学が結構あることを、他大学の非常勤にいって知り、うちはこれで進んでるのか、、、と感心した記憶が。

 

冒頭にも書きましたが、今年度の澤崎研究室には13人の学生が新規配属されるわけですが、その全員が顔を合わせたことは一度もありません(卒業した学生たちの研究発表を、新ゼミ生ごとに集まって聞いているので、その時は集まってますね、、、ただお互い知らないかも)。

 

1.まずは大学のメールで連絡を

学生全員とLINEでお友達!という教員は少ないと思いますし、それはそれでいろいろと諸問題起きそうなので、それだけが理由ではないですが私はLINEを一切やっていません。とりあえず、大学の教育システムの仕組み上から連絡を、、、ということで、ゼミ生全員に「Moodle上にゼミのコースを作ったので、そこを見ること」を大学のメールで指示しました。

Moodle上だと、学生のアクセス状況も個人ごとにわかるので、確認してみると、全員ではないですが、メールの指示どおりにアクセスしてきてます。日付と時間を確認すると、私がメールを出す以前から既にアクセスした学生がいたので、それはそれでマメにチェックしているのだと感心。このように、メールで行動を促してMoodle上で課題をしてもらう、、、というパターンでもいいのですが、それだと私が毎回メールか何かでアクセスを促し、学生はアクセス。この方法だと一方通行の授業にかなり近いと感じました(一方向型の授業ならこれでOKですが)。

 

2.掲示板(フォーラム)を活用してみよう

そこで、日常的に自主的にアクセスしてもらい、グループディスカッションのように能動的な学びができる場を作るために思いついたのが、今更感満載ですが「掲示板(フォーラム)」です。

学生は自宅にいるので、Moodleにアクセスしてくる時間帯もバラバラ、課題確認・課題実施などもバラバラ。そう考えると、昔ながらの掲示板が最適ではないか?と思ったのです。今の学生はスマホ世代。ネットを使いだしたときから、LINEのようなメッセンジャー系のアプリで会話をしていたのだと思いますが、そのような仕組みだと過去の会話にさかのぼったり、参照したりが難しい状況。

一方、掲示板であれば、トピックごとに分離することも可能で、リアルタイムではない議論には最適だと思うのです。ただ、彼らに、いかに日常的にその場を使ってもらえるかがカギ。掲示板というと、私のような40代を中心に、30代後半から50代の方はなじみがある仕組みではないかと思いますが、学生は違います。そのなじみがない学生を慣れさせるために、無理やりトピックを立てて、学生に書き込みをしてもらうところからスタートしました。

Moodle上に設置した掲示板(フォーラム)

ゼミの運営方針や家庭でのWIFI環境アンケートといった割と答えやすいところからスタートして、ゼミの運営方針や研究内容といった深いトピックを立ててみました。最初はちょっとウザい・・・と思われるのを覚悟で、掲示板の書き込みがあるたびに、学生に内容がメールで届く仕組みに。そうすることでリアルタイムではないにせよ、何らかの議論を誰かがしたことはわかります。

 

3.Zoom等によるオンライン会議での顔出しはいかに?

この方法で、とりあえず全員がMoodleのゼミのページに参加し、何らかの書き込みを掲示板に始めたわけですが、次のステップはZoomやSkypeでの遠隔ビデオ授業。

とりあえず慣れるための環境づくりも兼ねて、Wifi環境や接続するアプリ等をアナウンスして、時間を決めて(とりあえず2時間程度)、「自由に入ってきていいですよ!」と伝えて、仕事をしながら研究室で待っていましたが、Zoomにアクセスしてきたのは2日間で13人中5人。強制力もない連絡に、よく接続してきてくれた方だと思います。

天井と会話してる私

 

ただ、気になるのは、映像の顔出し

 

普通に画面上に顔をだして会話したのは接続した5人中3人。

ゼミ生は全員女子なので、化粧してない顔を見られたくない、部屋を見られたくない、、、さらには、最近だとSnowやSnapChatで当たり前になりつつある顔の「加工」がない等々、様々な理由で顔出しをしない学生がいたのも事実です。ずっと天井向けられてました。写真はイメージで、学生ではなく別の社会人と会話したときですが、社会人でもいやなら、嫌だという学生がいても無理はないのだと思いました。これは今後の課題。

 

実際、双方向の映像が授業の中でどこまで必要かも、授業設計の中で再検討しないといけないと感じましたが、こうやって合わずにコミュニケーションを取れるというのは、自分が学生だった20年以上前であれば考えられないことで、それだけでも時代は進化したのだな、、、と感じます。

 

とりあえず、今日(2020年4月8日)時点での試行錯誤でした。

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