インターネットがテレビになる日?

  •   

先日、A Happy New Yearに関する記事を書きましたが、ネット上にはこれが間違いである旨の記事がたくさんあります。ちょっと前まではそんな記事が溢れかえっていなかったように思うのですが、なぜ今更、A Happy New Yearが間違いだとやり玉に挙げられているのか。

 

そこで、ちょっと気になったのがネットの発達と見せかけの多様性。

 

メディアが発達すると多様性がなくなる?

CIMG1081いろんな分野において、多様性は重要だといわれます。例えば、生物の世界。多様な生物が生まれ、そして、その中で競争が発生し、強いものが生き残っていく。多様性のない世界。例えば、単種の生物などの場合は病気などに感染するとあっという間にそれらが広がり、絶滅してしまうと聞いたことがあります。多様だからこそ、その中で耐性をもつ生物が生き残り、強くなっていくと。(生物は専門ではないので、聞きかじりですみません。)

 

知識の分野でも同じです。いろんな考え方があり、それらがぶつかり刺激し合って新しいアイディアが生まれたり、議論が深まっていったりします。自分がアメリカの大学にいたころは、ダイバーシティー(Diversity:多様性)こそが大事だという理念のもと、人種や国籍を問わず、大学が様々なバックグラウンドをもった学生を受け入れてきたことを思い出しました。

 

そしてインターネット。

インターネットはテレビのように一方的な情報を多数に向けて放出するマスメディアではなく、相互性があり、自分でも世界に向けて情報発信ができてしまいます。インターネットは多様性を生み出す。以前はこんな風に考えていたのですが、最近ちょっとその認識が変わりつつあります。

 

インターネットが一般に普及しはじめた1990年代中盤から2000年。このころのユーザーはウェブの閲覧もしますが、情報発信もするという相互型でした。

 

ところが、ネットが爆発的に普及して、携帯電話などからもアクセスできる環境が整い、インターネットを使っているかどうかを意識することさえないほど普及してしまった現在、圧倒的な数の利用者(ユーザー)と、一部の情報発信者(サービスプロバイダー)というように状況がまた戻りつつあるように感じています。

 

こんな風に書くと、ブログやSNSでも相互通信や情報発信できるじゃないか!と言われそうですが、、、。そう、確かにSNSやブログなどで情報発信できますが、それ以上に目につくのは、ネットのまとめサイト的な存在や他者の引用ブログ。

 

以前は何か分からないことがあれば、辞書・辞典をひいたり、専門書を調べたりしたものでした。しかし、ネットが当たり前になった今、ここをご覧になっている大多数の方は検索エンジンでキーワード検索して出てきたそれらしい記事を読んで納得していませんか?

 

特に、最近では「検索=Google」になってしまい、調べた結果は誰がやっても同じに。

 

これがインターネットのテレビ化だと思うのです。

 

CIMG1082これらは学校教育についても影響がありそうです。情報リテラシーを高めよう!ということは以前から言われ続けていますが、学生さんたちに課題を出しても、自分たちで考えることをせず、「答え探し」をしようとします。これがネット検索の影響であるかどうかは検証していませんが、、、

 

私もまだ若輩者で、偉そうなことは言えませんが、長い人生、生きているといろんな困難や課題にぶつかります。そして、その答えは人によって千差万別。その答えを見つけ出し、自分で「解」にしていかなければなりません。

 

誰かに与えられた答えではなく、答えを自分で作り出すというプロセスがあると思うのです。

 

マニュアル時代の復活?

かつて様々な分野でのマニュアル化が非難され、多様性が強調されてきましたが、ふと書店のベストセラー一覧を眺めると、タイトルこそは違え、いわゆるハウツーもの、やり方紹介をしている本ばかりに見えてきます。ついつい「◎◎な方法」といったタイトルにつられてブログや書籍を見ていませんか?(私も好きでつい見ちゃいますが・・・)

 

A Happy New Yearの話題にもどりますが、なぜ今更、A Happy New Yearが間違いだとやり玉に挙げられているのか。これはインターネットの普及としか言いようがありません。昔はこういうのを調べようにも調べる方法もなく、海外の状況も無料でリアルタイムに入ってこない時代。それが、今はGoogle先生に聞くだけで簡単に手に入ります。

それが正しい情報かどうかはさておき、検索された結果で答えが見つかった!という満足感。便利な世の中になっていいのですが、情報も画一化・統一化しやすくなったように感じます。

 

多様な意見を追っているつもりで、意見が集約しやすいのはネットを使った世論形成や政治の世界も同じ。私はあまり政治は詳しくないのですが、、、意図せずして意見が集約していく様を眺めていると、本当の意味での情報リテラシーとは何なのかを再度考え直さなければいけない気がしてきました。選挙でのネット解禁の話もチラホラきこえますしね。難しい時代になりました。

 

気軽にネットできていた時代が懐かしいですねぇ、、、

関連するおすすめ記事 - Related Posts

  • 世界一使いにくいトイレ2012年11月26日 世界一使いにくいトイレ 某観光名所でトイレに行きたくなり、公衆トイレを発見。 いざそこに駆け込んだら、男子トイレは工事で閉鎖中。表の張り紙を見ると、  ご利用の方は反対側の仮設男子トイレをご利用 […]
  • モノも知識も使わないとダメになる? – 出し惜しみはしない2021年5月27日 モノも知識も使わないとダメになる? – 出し惜しみはしない 大学、短大でビジネス系の授業を担当していますが、経営や会社に関する法律を参照するときがあります。そんな時に気が付くのは、法律って改正されて変わっていくということ。これはこれで当た […]
  • アメリカに来てわかった日本の高品質が世界で負けてしまう理由2013年2月18日 アメリカに来てわかった日本の高品質が世界で負けてしまう理由 先週までアメリカ合衆国デンバー(コロラド州)にいました。ELI2013というカンファレンスで発表のために滞在していたのですが、アメリカに来るたび思うのは、「サービス」とは […]
  • オンラインで授業や講座をするのに感じた色々2020年4月7日 オンラインで授業や講座をするのに感じた色々 中国武漢に端を発した新型コロナウイルスで、緊急事態宣言が出されることがほぼ確実(もう出てる?これを書いたのが7日昼だったのですが、公開8日現在では出されてますね。)ですが、多くの […]
  • 自分で使うものを自分で作ると満足度アップ!2015年7月20日 自分で使うものを自分で作ると満足度アップ!   土曜日に息子と娘を連れてJR福井駅前にある「su-mu」という施設の3階にできる予定のコワーキングスペースの壁塗りのイベントに参加してきました。 &nb […]
  • ネパールで学んだ地域活動実践の意義2018年1月5日 ネパールで学んだ地域活動実践の意義 昨年2017年2月にネパールに行きました。     本当はその時のことをいろいろとブログに書き綴らないと、、、と思っていたのですが、あっとい […]
  • My name is は本当に使わない?日本人が英語を話せない本当の理由2014年2月8日 My name is は本当に使わない?日本人が英語を話せない本当の理由 先日、Facebookの方でこの話をつぶやいたら、結構な反響だったので、ブログにもまとめてみました。   ことの発端はたまたま見ていたテレビ。午前中にやって […]
  • サバエバルでサバイバル~!2015年8月31日 サバエバルでサバイバル~! 日曜日に息子と二人で鯖江市にある中華料理店にランチを食べに行きました。   普通だったら坂井市からわざわざ福井市を通り越して鯖江市に・・・なんてことはないの […]

  •   
  •  
  •  
  •  
  •  
  •  
  •  
  •  
  •  
  •  

コメントする