※この物語はフィクションです。
前回、裁量労働制を取り入れたウマシカ商事ですが、次なる改革は社内情報共有と、ムダの徹底排除ということで、早速、グループウェアを導入しました。
これまで、ウマシカ商事では、現場主導で導入した企業向けのGoogleサービスを使ってスケジュール管理を行い、OneDriveなどのクラウドなども利用して、社員が自由にデータを共有していたのですが、昨今のセキュリティー問題や働き方改革などの影響もあり、社内ネットワーク内にグループウェアサーバーを新設しました。
このグループウェアでは、ブラウザを利用した文書管理やインフォメーション、スケジューラーなどの機能があります。
そして、これまで社内共通のお知らせ事項などはメールにて配信されてきましたが、これらは全てグループウェアの「お知らせページ」に集約され、全社員一斉に共有すべき情報はこの「お知らせページ」を見なくてはいけなくなりました。
当然、昨今のセキュリティー対策の問題もあり、このグループウェアは社内ネットワークからしか閲覧できません。万全の安全対策です。
早速運用が始まりましたが、すぐにおかしな現象が起きました。
いままでよりも、オフィスでパソコンに向かって時間を過ごす人が増えたのです。これまで、割と自由に情報収集や営業活動のために外出していた社員たちがオフィスに張り付くようになりました。
社員A「社内でしか見れないグループウェアのお知らせページに大事な情報が流れて来るので、いつ見逃すかわからない。」
社員B「頻繁に確認しないと仕事が進まなくなった。」
1か月後、割と自由な雰囲気だったオフィスも様変わりし、机に向かって黙々と仕事をしている社員を眺めて、社長は
「うん、みんなよく働いてくれるようになったね、、、しかも、真剣にパソコンに向かって情報収集してるじゃないか。」と満足気でした。
しかし、会社の実際の情報収集能力は低下していたのです。
が、一番低下していたのは、社員の士気かもしれません。
前回の続きです。こんな創作話を思いついたので、なんとなく書いてみました。
情報共有、セキュリティの本来の意図も理解せず、かつ、仕事の流れを無視した時代遅れなITツールの導入をやっている会社は要注意かもしれません。
(前回をお読みになる方はこちらから。「働き方改革物語01」)