フェイスブックは自尊心の低い方々にはフレンドリーではないらしい。
1年ほどまえにソーシャルネットワークの映画が日本で公開されてから、ずっとFacebookがネットの話題を独占してきた、そんな気がしますが、実名SNSであるFacebookがメリットばかりかというとそうでもないことを利用している方々も気が付き始めたのではないかと思います。
現実社会とネット上がつながっているからこそ面白かったFacebookなのですが、逆にいえば、現実社会での関係という堅苦しさに加えて、見えなくてもいいものまで見えてくる。そういうのがいやでFacebookのアカウントは作ったけど、そのまま放置または削除という人も少なくはないようです。
先日、アメリカのメジャーなニュースサイト(ラジオ局)でもあるNPRニュースでこんな記事が。
Facebook May Not Be So Friendly For Those With Low Self-Esteem
以下、私の勝手で適当な要訳: Source: NPR News
フェイスブックに記事を書いていくのは人とつながる簡単な方法。でも、人々を疎遠にさせる可能性もある。特に自分を低く評価しがちな人(自尊心の低い人)にとっては厄介な問題だ。 自分のイメージがはっきりしていない人は悲観的な物の見方をしがち。そういう人は不満をいう傾向にあり、顔を合わせたときも、否定的な見方や感情をシェアしようとする。こういう行動パターンがオンライン上でも同様かをカナダにあるUniversity of Waterloo in Ontarioの研究者たちが調査した。
最近だとあちこちでFacebook講習会が開催され、ビジネスの世界でもこんな風に活用しましょう!とかFacebookを活用したらこんなに儲かった!なんていう書籍も本屋さんの新刊コーナーを賑わせています。Facebookのメリットばかりが強調され過ぎているようにも感じる状況ですが、「人々を疎遠にさせる可能性」という部分が面白いと思いました。
実は、私も使い始めてすぐにそれを感じていたので、つい記事に目がとまった次第。
記事はこう続きます。
自尊心が低い人は非常に用心深く自己防衛的であると調査者の一人であるAmanda L. Forestは言う。彼らにとって、他者から受け入れられたり認められたりすることは重要で、、、、 自尊心の低いひとはより否定的な投稿をしがち。
自尊心の高い人はポジティブでハッピーでエキサイティングな投稿をする・・・ また、被験者たちに聞くと、みんな否定的な投稿は見たくないという回答。
と続くのですが、これらは特に新しい発見かというとそうでもないですよね。
興味深いのは以下のくだり。
高い自尊心をもつ人でさえ、フェイスブックは難しい一面をもっている。
例えば、もし他の人が多くの「いいね」や賛同をもらって、あなたががもらわなかったら、または、友達の投稿した写真に自分が載っていなかった場合など(自分はいたのに)。
結局、疎遠になるのはこんなところからなんだと感じます。
必要以上に可視化される人間関係はメリット?デメリット?
Facebookのメリットは
- これまで疎遠だった人の近況を知れる
- 名刺代わりになる(公開していれば何をしている人か経歴もわかる)
- その人がどういう人間関係を構築しているかわかる
などでしたが、逆な見方をすれば、見たくない人間関係も見えてきてしまうということ。
他人との関係性に自信がないと、
- 自分の友人が他の人には「いいね」してるのに自分には「いいね」がない
- 友人主催のイベントの様子が写真等でアップされて楽しそうな友人たちの様子が見えるけど、自分の写った写真がアップされてない。
- そもそもそのイベントに招待されていない。
- 自分が不得意な相手と自分の親友が仲がいい(よく行動を共にしている、共感している)
などなど、リアル以上に人間関係が可視化され、また、そのため必要以上な憶測で物事を考えてしまい、それをリアルな関係にフィードバックさせてしまうこともこの実名SNSであるFacebookの特徴ということが言えそうです。それがポジティブに働く場合と、ネガティブに働く場合と両方のケースがあるわけですね。
Facebookはリア充のためのツール?
ネットを長いことしていて、いまさらながら「リア充」なんていう言葉を学生さんから教えてもらいましたが、彼らいわく、「Facebookはリア充な人がするもの」らしいですね。確かに、ネガティブな意見は書きにくいですし、本音と建前という意味では現実に近いので、現実社会はこんなもんだ、、、と割り切ればいいのでしょうが、先ほど書いたように、現実以上に見えてしまう一面があるのも真実。
ネット時代に生きる難しさを考えさせられます。
で、NPRの記事に戻ると、 記事はの結論は
自尊心はどうであれ、フェイスブックに投稿するものは考えろ(よく選んで投稿しなさい)。なぜなら、ネット上の投稿は消えることはないから、、、
と締めくくってますが、コラムとしてはちょっとしまりのない締めだな、、、と。
いろいろと考えさせられる記事ではありましたが、、、