悩んでたことが嘘みたいね – 比較してわかる、Let it goの日本語訳が秀逸な理由

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ディズニーの映画「アナと雪の女王」のヒットが連日伝えられてますが、話題となっているのは映画に加えて、その主題歌。

 

テレビなどでも頻繁にかかっているので耳にしたことがある方も多いのではないかと思いますが、日本語版は松たか子さんが歌ってます。(テーマ曲としてはMay Jさん)

昔海外にいたことがあると、やっぱり気になるのは日本語がどうやって翻訳されているかという点。

 

この映画のタイトルは「アナと雪の女王」ですが、オリジナルは「Frozen(クリックすると英語の公式ページ)

 

英語のタイトルでは日本人には何の事だか??

 

ビジネスの世界で使う英語は世界語としてゆるぎない地位を手に入れましたが、やはり言葉と文化は切り離せません。

こういう文学表現ではタイトルをそのまま使う場合、意味不明になってしまうので、そこはやはり翻訳の出番です。

 

歌詞にすると日本語の情報量は圧倒的に少ない

テーマ曲のサビで繰り返される「ありの~、ままの~」のところも「Let it go! Let it go!」と「お」の音で韻を踏んでいて違和感なく訳されていますし、映画そのものがミュージカルのように歌でストーリーを表現しているので、翻訳は重要ということに。

特に、日本語は音符ひとつに1語、英語は音符ひとつに1音節(短い単語だと1単語)なので、詰め込める情報量が圧倒的に日本語の方が少ないのです。

 

例えば、この曲の出だし、

The snow glows white on the mountain tonigh
Not a footprint to be seen

(雪が山を白くおおう今夜、足跡一つのこらない)

これだけの単語数を日本語では

ふりはじめた雪は足跡消して

この一言で表しています。山であることはシーンを見れば明らかですし、状況から必要最低限の言葉を慎重に選んでいるな、、、と感心します。

 

次に続く歌詞では、

A kingdom of isolation  and it looks like I’m the queen

(隔絶された王国、私はそこの女王みたいね)

ここの歌詞はこのように訳されて歌われてます。

真っ白な世界に一人の私

直訳にはなっていませんが、エルサの置かれた状況は英語の歌詞であるようなことは明らかで、むしろ、彼女の心理的描写を日本語の歌詞でしているようです。これだけでも、かなり上手な訳だと思うのですが、私が一番すごいと思ったのは次の場所!

 

つらい時にここを見ると元気がでる!哲学的な訳詞

私にとっては、この部分の訳の仕方が秀逸でした!(1:35秒あたりから)

It’s funny how some distance
Makes everything seem small

(おかしいわね、遠くから眺めると全てが小さく見える)

日本語では

なやんでたことが嘘みたいね

 

普段自分が物事の渦中にいると、自分に降りかかっている災難や困難は非常に大きなものに見えます。悩んでいることも自分一人で内側から考え込むと悪い循環に陥り、悪い方悪い方へと考えてしまいがちに、、、

 

景色は当たり前ですが、遠くから眺めると小さく見えます。この英語の歌詞のように、(悩みも)遠くから離れて、つまり、客観的に見ると実はたいしたことじゃなかったのかもしれません。

 

または、一度自分の置かれた状況から少し距離を置いてみることで、悩みは大した悩みでなくなってしまう、、、そんな心理的な状況を一言で「なやんでたことが嘘みたいね」と言い切っているこの歌詞のセンスはすごいと、ただただ感心。

 

無理をせず、今ある状況から少し離れてみることも大事

 

人間誰しも物事が順風満帆に進むことばかりではありません。

時には失敗し、悩み、そして成長していくものだと思います。

 

こだわりも大事ですが、一つのことに悩みすぎるとそこから抜け出せなくなります。

 

そんな状況を変えるには、この英語のオリジナルの歌詞のように「少し離れて見る」ことも大事なのかもしれません。

 

そうすると日本語の歌詞のように「悩んでたことが嘘みたいね」となりそうです。

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