あるところに2人の新人サラリーマンがいました。
仮に、鈴木さんと佐藤さんとしましょう。
(日本で最もメジャーな2つの苗字に登場してもらいました。)
鈴木さんの場合
鈴木さんは大学時代、アルバイトの経験も豊富で、アルバイトリーダー的な役割を与えられ、時給も他のアルバイトスタッフよりも高く、皆から評価されていました。
そんな鈴木さんも就職時期を迎え、あちこちの会社に面接を受け、最終的に第一志望の会社に就くことができました。
鈴木さんは頭もよく、要領もいいので、仕事の飲み込みは早かったのですが、最近不合理に感じていることがあります。
それは仕事時間に関すること。
鈴木さんは家から会社まで電車と徒歩で片道30分かけて通勤しています。鈴木さんはこの移動時間もなぜ勤務時間ではないのか、ということをいつも同僚に話しています。
鈴木さんが考えるに、「給料は仕事に拘束されることに対する対価。だから、仕事のために家を出てから会社に着くまでも時間を拘束されているわけだから、これだって勤務時間だ」、と考えています。
さらに、朝起きて着替える時間さえも仕事のための準備の時間だから、ここだって勤務時間なはず。まったく会社の考えとは合わない!といつも不合理を感じていました。
そんな時、職場の上司から、鈴木さんが出勤時も会議の時も、いつも時間ぎりぎりであることを指摘されます。上司が言うには、仕事が始まる時間というのは、そこから業務がいつでも開始できる時間だとのこと。だから決められた時間の5分前には待機して準備が整っていなければいけない、とのことでした。
これを言われた鈴木さんは、こんなことだから日本の会社はいつまでたってもグローバル化できないんだ!と考え、近いうちに転職を、、、と考えるようになりました。
佐藤さんの場合
一方、佐藤さんです。佐藤さんも大学時代はアルバイトを経験し、就職活動にも早くから臨みました。しかし、残念ながら、自分の第一志望の会社に採用は決まらず、希望していた職種とは少し違う会社への就職となりました。
佐藤さんの家は会社からは少し距離があり、毎日片道1時間30分をバスと電車を乗り継いで出勤しています。毎朝8時30分の出勤時間よりも30分ほど早く出社し、自分の机の周りの整理や掃除を行い、前日の仕事の確認と、その日の仕事の段取りをします。
そのため、その部署に入る早朝の連絡や時間外の顧客対応は佐藤さんがすることが多くなっています。
佐藤さんは入社した会社が自分の第一志望でなかったことから、仕事にまだ自信がなく、少し不安を持っています。また、プレゼンや企画書作成の知識が乏しく、職場の先輩の負担になっていないかも心配であるため、仕事の後には社外で有料のセミナーや勉強会に参加しスキルアップに励んでいます。
佐藤さんは自分がのんびりとした性格であることを気にしており、何事も早めに取り掛かるようにしています。そのため、頼まれた仕事は時間までに遅れず仕上がります。そんな理由からか、雑用的な仕事をお願いするなら佐藤さんに声が真っ先にかかります。
それでも佐藤さんは自分がもらう給料の分だけ自分が稼げていないことを感じています。
みなさんならどちらを採用しますか?
上記の対照的な二人ですが、みなさんだったらどちらの人を採用したいですか?自分自身を振り返ると、自分が若かった頃は完全に前者の鈴木さんのような考えで働いていました。今思えば、生意気な従業員だったと思います。が、もしかすると、多くの今どきの若者はそんな発想かもしれません。
おそらく、多くの方(特に経営者の方)は、前者の鈴木さんよりも後者の佐藤さんの方がいいと答えるのではないかと予想しますが、もちろん、鈴木さんだという会社もあるでしょう。
しかし、一番の課題は、スタッフを採用するにあたって、これらのことは採用してみるまで分からないということ。そして、採用後もそのスタッフを自分の会社に会うように研修等を実践していくことは難しいということ。
人を変えるのは難しい。なら自分が変われ!とよく言われますが、それだけで組織すべてが変わるかといえばそうとも限りません。
皆さんならどちらのスタッフをどのように評価しますか?
(今回のトピック、もちろんフィクション・創作です。社内研修等で自由に使っていただいても大歓迎です。)