働き方改革物語01 – 伸びた労働時間と低下した士気

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※この物語はフィクションです。

 

最近、「働き方改革」というキーワードが旬です。

 

ウマシカ商事もこの流れに乗り、社員にのびのびと働いてもらおうと、出退勤時間の制限なく、労働者自身の自由な裁量により働ける「裁量労働制」を採用しました。

 

「裁量労働制」を採用した訳は、ウマシカ商事が技術系の会社であり、これまでも、一応の出勤時間、退勤時間が決められていたのですが、事実上、夜遅くまで会社に残る社員も多く、経営陣が社員の勤務体制を十分に把握できていなかったのです。

 

裁量労働制は、社員からはおおむね好意的に受け取られました。なぜなら、出退勤の定時はありましたが、夜おそくまでがんばると、翌日遅く出勤したり、自由にに外部との打ち合わせに出かけたり、情報収集するなど、臨機応変な対応がとられており、事実上の裁量労働的な働き方が、しっかりと明言され制度化されたからです。

 

ところが、同時に、これまで昔ながらの出勤簿に押印という形で行われてきた出退勤管理は、労働者の働き過ぎを管理する目的で、タイムカードによる出勤、退勤の時間管理を実施することになりました。労働時間の把握をしなければいけない、働き過ぎはいけない、とのことからです。

 

早速運用が始まりましたが、すぐにおかしな現象が起きました。

 

社員たちは、もともと決められていた出勤時間よりも早く出勤するようになり、退勤も遅くなりました。出退勤を時間で細かく管理するようになり、誰がどれくらい会社に滞在したかということが時間で明確になったことで、仕事の有無にかかわらず朝早く来て、夜遅くまで会社に残る社員が増えました。

 

1か月後、データ出力された社員の出退勤記録表を眺めて、社長は

 

「うん、みんなよくはたらいてくれるようになったね、、、しかも残業代も払わなくていいしね」と満足気でした。

 

しかし、会社の光熱費等は上昇し、仕事の時間あたりの効率は低下していたのです。

 

が、一番低下していたのは、社員の士気かもしれません。


 

こんな創作話を思いついたので、なんとなく書いてみました。

仕事の評価を時間だけでやっている会社は要注意かもしれません、、、

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