ブラウザ - 普段どれくらい意識して使ってますか?
FireFox3のダウンロード数が過去最高に!ギネス社に世界記録申請中!というような見出しのニュースを今週ネットサーフィン(死語?)していた方々は目にしたのではないでしょうか。(例:CNNニュース)
普段、ブラウザというものを意識している方がどのくらいいらっしゃるかはよくわかりませんが、ブラウザとはインターネットのホームページなどを閲覧するために利用するソフトウェアの一般名称です。
おそらく、ここをご覧になっている方の大勢が「インターネットエクスプローラ(IE)」というソフトを利用しているはずで、「エクスプローラですよ。」と言えば、「インターネットみるやつね」と分かっていただけるのではないかと思います。
その「エクスプローラ」、もとい、ブラウザにちょっとした変化が起きようとしています。
ブラウザの歴史 - ネットスケープと第1次ブラウザ戦争
9割以上の利用比率(シェア)を誇り、今ではすっかりブラウザの代名詞として定着したインターネットエクスプローラですが、実は、このソフト以外にも様々な閲覧ソフトが存在します。
今から15年ほどさかのぼること1995年。Windows95が発売され、インターネットという言葉がやっと日本に普及し始めたころは、ネットサーフィンをするというのはまだ一部の方々(研究機関や大学、一部のパソコン好き)のものでした。
その当時、ブラウザといえばネットスケープナビゲーター(Netscape Navigator)。インターネットをするにはネットスケープ(略してネスケ)が必要だと言われていたのです。その後、マイクロソフトがWindowsにインターネットエクスプローラ(略してIE)を標準搭載してからは、利用比率が劇的に変化。ついに、ネットスケープは市場から駆逐され、エクスプローラの独占状態となりました。
ある意味、その当時が第1次ブラウザ戦争に該当するわけで、インターネットエクスプローラの完全勝利で幕を閉じたというのが結末になるのでしょう。
第2次ブラウザ戦争が勃発の兆し
そして、第2次ブラウザ戦争の始まりです。先ほど駆逐されたネットスケープ(ネスケ)は、FireFoxへと大幅にモデルチェンジし、また、Operaといわれるヨーロッパ発のブラウザも登場してきています。一時期は9割を大きく超えていたインターネットエクスプローラのシェアも徐々に低下してきているとの声も聞こえ始めました。
これまでマッキントッシュ(Apple)にしか搭載されていなかったマック専用ブラウザ「Safari」までもがウィンドウズ用として参入し、今週、大きなニュースになったのが、見出しにも書いた「FireFox3」の記録的なダウンロード数ということなのです。
なぜブラウザ戦争が起きるのか?
一時期はインターネットエクスプローラで決着がついたかに見えたブラウザ戦争が、なぜここにきて再発の兆しなのでしょうか?
当初はブラウザも無料ではなく、有料ソフトでした。現在では提供されているほとんどのブラウザが無償です。このような利益にならないソフトになぜ各企業、団体はしのぎを削るのか。そこには、爆発的なインターネットの普及とIT社会の今後の動向がみてとれます。
パソコンも、ネットがなければタダの箱
かつてはパソコンといえば、プリンタを接続する程度で、単体で使うのが通常でした。ですが、今のパソコンというのはインターネットにつながっていなければタダの箱と同じです。皆さんが一番利用するであろうメールや情報検索もネットに繋がっていて初めて可能になります。そして、そのネットとの窓口になるのがこの「ブラウザ」なのです。
かつてのパソコンは各メーカー毎に規格がバラバラで、それを統一的につないだのがOSといわれるソフトウェアです。そのOSも、複数の種類がありましたが、現在ではWindowsが圧倒的なシェアを誇り、「Windowsで動かないソフト=売れないソフト」というような意味までもつようになってきています。
「パソコンを使う=ブラウザを使う」
それと同じことが、ブラウザでも起きつつあるのです。先ほども書きましたが、私たちのパソコンはネット環境なしでは何もできないタダの箱です。メールも検索もブログやSNSだってネット上でしかできません。そして、それらを利用するのに必須となるのがブラウザなのです。また、会社でも、業務に利用するためのシステムが専用のものからASPやSaaSと言われるネット型に変わり、仕事でもブラウザを多様するようになってきています。
ネットに接続する際、インターネットの窓口に該当するブラウザが、新しいアプリケーションソフトウェアの基盤として動いているため、これがかつてのOSに該当するような重要な役割を果たしており、その意味で、この部分の主導権を誰が握っていくのかというのが非常に大きな関心となってるのです。
ブラウザが違うと利用者にはどういうメリットがあるのか
かつてはブラウザが変わると、その見栄えやレイアウト等が変わるなどという技術的な面ばかりが注目されていました。HTMLというホームページを記述するための言語が十分に標準化されていなかったため、様々なブラウザに合わせたページを作成する必要があり、そのための技術論的な話題ばかりが先行していた気がします。その意味では供給者側の都合でブラウザが語られていたのでしょう。
現在では、HTMLも次世代のXHTMLに移り、HTMLを書く場合の構造や見栄えを定義するCSSなど、かなりの部分が標準化されています。ですから、今大きく注目を集めているブラウザの違いは「使い勝手」なのです。
供給者から利用者の視点へシフト
先ほども、「パソコンを使う=ブラウザを使う」という構図になりつつあるコンピュータの利用動向を書きましたが、パソコンを使うという意味の大半がブラウザを使うということと同義になってきている現在、ブラウザの使い勝手を向上させる、または、より利用者の目線に立ったブラウザを供給できるということが、ブラウザ普及への鍵になってきます。
そして、今回のFireFox3で一番の売り文句となっていたのが「スピード」です。各家庭に光が入ってきていますが、それでも、画面の表示にはイライラさせられます。これは、ホームページの仕組みそのものが従来よりもかなり複雑化していることの表れでもあるのですが、そのイライラを解消できる!というのが、キャッチフレーズになっています。
実際に、FireFox3を導入して、インターネットエクスプローラと比較してみましたが、その差は歴然。同じページを開くのにもあまりストレスを感じません。このことは、ライバルであるOperaやSafariにもいえます。(下のグラフはSafariの公式ページに掲載されている性能差です。出典:Safari)
これまでWindowsの圧倒的なシェアに胡坐(あぐら)をかいていたマイクロソフトも、新しいブラウザの登場とその性能にはのんびりしていられなくなってくるはずです。
10年後に皆さんがどのブラウザでこのページをご覧になっているか、ちょっと楽しみですね。(でも、10年後もこのページがあるかどうかの方が問題か・・・)
参考:各ブラウザでこのサイトを見た時の違い
FireFox 2
Opera
Safari
私が最近好んで使っているブラウザです。体感速度は最速です。