ASPとは - アプリケーションサービスプロバイダー
ASPとはApplication Service Providerの略で、情報システムを自社内で保有するのではなく、ネットワーク等を通じてそのソフトウェアを利用し、提供元にはその利用料を支払うという新しいアウトソーシングの形です。
一方、最近よく見かけるようになったSaaSとは、Software as a Serviceの略で、ソフトウェアをサービスとして提供する新しいビジネスモデルだといわれています。ASPもSaaS(サース)も、実質はソフトウェアのレンタルという概念に近いですが、ネットワーク経由でアプリケーションを利用し、個別の端末(クライアント)にはソフトをインストールする必要がないという意味で従来のレンタルとは微妙に違います。
いずれにせよ、ASPもSaaSもネットワーク経由でソフトウェア提供するという意味では同義であり、提供する側に視点を置いた呼び名がASPであり、その提供されるサービス(ソフトウェア)に視点を置いた呼び名がSaaSということになるのでしょう。
ASP、SaaSがソフトウェア導入の主流に?!
開発したソフトウェアを自己所有することの費用(TCO:Total Cost of Ownership)よりもASP契約でソフトウェアを利用した方が安価になる場合があり、業務システムをASPとして受ける形態が主流となりつつあります。業務システムをハードだけでなく、ソフトウェアと一括して、サービス提供という形で受け取るため、自分でサーバー機器の保守、ソフトウェアのバージョンアップを行う必要がないのがメリットです。
また、基本的に個々の端末(クライアント)にもソフトウェアをインストールする必要がないので、情報システム部門の負担となっていたインストールや管理、アップグレード等にかかる費用を縮減できるという点が一般的な評価です。
実際にASPにするか自己所有とするかの判断
本当にASPは安いのか
ASPを導入するとすぐにでも費用削減になるかのような効果をうたっている資料を見かけますが、慎重に判断する必要があります。ASP契約の内容にもよりますが、基本的に資産を持たないので、システム開発から運用、修繕、人員の教育、配置にかかる全体のコストを、標準化されたサービスの対価として払うことになります。
ですから、そのサービスが高いか安いかは、対象となる情報システムを自己所有したことでかかる経費(TCO)と、同じ期間ASP契約をした場合との比較衡量となります。
ASP事業者の視点で考えると、ある程度サービスが一般化しており、スケールメリットを見込んで事業を展開していると思われますので、自己所有するよりは安くなるというのが一般論です。逆に、ASPサービスを特注したなんていう場合には間違いなく高くなります。
TCOの計算をする場合の注意としては、ASPとしてアウトソースしようとしている事業(システム)の間接費等の積算がしっかり出来ていない場合、システムを自己所有した方が安くなるというように結論付けてしまようなケースも多々みます。費用の比較は、慎重にする必要がありそうですね。
本当にメンテナンス不要なのか
システムをネットワーク経由で使うことから、端末(クライアントパソコン)へのメンテナンスが不要というのも一般的な評価ですが、これも実際意見の分かれるところです。
ネットワーク経由ということで、インターネットエクスプローラーのようなブラウザ等を利用したASPが多いと思うのですが、ActivieXやプラグイン等を多用して端末(クライアント)側の操作性を向上させている場合も多く、ブラウザの種類やバージョン、または、プラグインの組み込みに結局メンテナンスが必要というケースは多々あります。
システム発注等で業者選定を行う場合、提案コンペをすることも多いのですが、こういう細かい部分の対応も比較の対象となったりします。
個人的な経験を書くなら、発注仕様書に「InternetExplorer5.0」以上のブラウザに対応したウェブシステムを構築すること」を条件にしていたケースがありました。しかし、実際出来上がったシステムは「InternetExplorer5.0+特定のDLL」というセットでしか機能せず、その「InternetExplorer5.0+特定のDLL」というセットが、その当時配布されていたIE5の7割程度をしめていたため、受注業者から「御社のIE5はIE5じゃないんですよ」と、思わずのけぞりたくなる様な返答をされたことがあります。
バージョン情報をみても、最初の起動時のメッセージを見てもIE5って出てるのに、なんのためらいもなく「おたくのIE5はIE5ではない」と言える営業さんってすごい・・・と、返す言葉がなかったのを思い出しました。仕様書もしっかり詰めないといけませんね(笑)。
もう一つのASP - Active Server Pages
紛らわしいですが、マイクロソフトのサーバーサイドプログラミング技術でActive Server Pagesというのがあります。これは、CGIやJSP、PHP同様にマイクロソフトのウェブサーバーIISでプログラム処理をするための仕組みのことで、こちらもASPと呼ばれていますので、文脈で違いを感じ取るしかありません。
本当にカタカナやアルファベットには頭を悩まされますよね。