Orebo - 本物のビジネススクールを見せてくれる場所

Orebo Biz School トップマネジメントセミナー

先日、8月5日(火)に、株式会社大津屋さんが昨年度から実施している教育事業「OreboBizSchool」の「トップマネジメントセミナー」に参加させていただきました。

オレボステーションとBizSchool

大津屋さんと言えば、天正元年(1573年)の造り酒屋からスタートし、福井県初のコンビニ「オレンジBOX」を展開したことでも知られる会社。今でこそ、コンビニで生鮮食品やイートイン席(買った商品を店内で食べる座席)が新しいコンビニのスタイルであるかのような言われ方をされて、大手コンビニチェーンが注目を集めていますが、そんな大手よりもずっと先手を打って実践してきたのがこの大津屋。慶応ビジネススクールのケースメソッドでも取り上げられたりしています。

大津屋の教育事業 - OreboBizSchool

常に、一歩先ゆくコンビニをわれわれ消費者に展開して見せてくれている。しかも、そのサービスの質を落とさないよう、多地域展開していないところも、ある意味斬新です。こんな大津屋が教育事業を展開。注目しないわけがありません。

このトップマネジメントセミナー、実は昨年がスタート。昨年もJR福井駅前にあるAOSSAでの回に参加させていただいていたので、今回が2回目なのです。

オレボステーションとBizSchool

今回私が参加したのは、福井市高木中央にあるオレボステーション(コンビニ)の横に併設された「Orebo biz School」高木中央教室。写真にあるように、すぐ隣が教室となっています。

ケースメソッドで学ぶ地域ビジネス - いろどり

当日は慶応大学ビジネススクールの奥村昭博教授。ケースはツマモノビジネスで最近著名となった「株式会社いろどり」です。

慶応大学ビジネススクールの奥村昭博教授

ツマモノとは、料亭などで料理に季節感を演出するために添えられる「葉っぱ」。この葉っぱを人口2000人足らずの徳島の過疎の町で2億円を超えるビジネスに変えたその秘密と今後の展開が議論の中心となりました。

会場では、福井県を代表する企業の社長だけでなく、お隣石川県からも参加されていて、その関心と評判の高さが伺えます。このような場所に同席させていただけるだけでも光栄なのに、みんなで対等に意見交換ができるというのがこのケースメソッドのいいところ。

自分もアメリカのビジネススクール時代を思い出したりしましたが、当時との一番の違いは参加者がみなエクゼクティブだということ。MBAプログラムも最近ではトップマネジメント用のExecutiveMBAなどというものがありますが、今回のセミナーはまさにその日本版だと思いました。

「ケース:いろどり」当日の議論等を少し紹介すると、、、

まずこの「いろどり事業」の重要成功要因(Critical Success Factor)は何なのか、というところからスタート。日本中の第三セクターが赤字経営に陥る中、なぜここはこれほど成功しているのか、というのを皆で議論していきます。ここには、横石さんという中心人物(事業発案者)の存在があるのですが、彼の言う以下のポイントにマネジメントの真髄を見た気がしました。

  • 出番を作ること
  • 評価をすること
  • 空振りをさせない

その会社が元気になるためには、アイディアやタイミングももちろん大事です。この「いろどり事業」も、一見何の価値もなさそうな葉っぱを「ツマモノ」として高付加価値商品化したところに最大の力点が置かれがちですが、それ以上に上記の3点が重要だと思いました。

葉っぱを集めて出荷するおばあちゃんたちの出番をしっかりつくること。年寄り扱いされて、あまりメインプレーヤーとして考えられなかったお年寄りにしっかり出番を作ってあげて、必要とされているということを実感してもらう。これで、プレーヤーは自立し積極的に動き出します。

また、その動きをしっかりと評価して認めること。認められることで、喜びにつながり次へのステップへの大きな原動力となります。

そして、大事なのは空振りさせないということ。やっただけの努力が必ず報われるシステムを作ること。せっかくした努力が全く無駄になるのでは、活動意欲がそがれます。すれば報われる、しなければ報われないという自業自得的な仕組みも、わかりやすく、ある意味公平で納得いくルールです。成果主義が上手に機能していく典型例を見た気がしました。

おばあちゃんたちに競争させて金儲けをするのか?なんて眉をひそめる人もいるかもしれませんが、日本の第三セクターがことごとく赤字で失敗に終わっているのは、経営・経済の観点が完全なまでに欠如しているから。一義的に会社である以上、その事業は顧客に対してしっかりと提供されていかなくてはならず、この「いろどり事業」は、そのビジネスの当たり前を当たり前にしているだけなのです。

あえば商品、あわなければゴミ

「いろどり事業」の考案者でもあり、同会社の代表取締役でもある横石氏が語っていた

「あえば商品、あわなければゴミ」

という言葉は、これまでの日本の農業の在り方にも大きな課題を投げかけてくれています。これまでの農業は保護され損失は補助金で賄われ、国やJAの指導のまま主体性なく行われてきたというのがその大多数だったはずです。もちろん、そういう農家ばかりではありませんが。

「農業は作ったものを売る」という従来の考えから、「売れるものを作る」というビジネスでは当たり前の発想に転換しただけで、これだけダイナミックに変わることができるのです。お年寄りに競争させるなんて、、、という意見をもたれるかもしれませんが、このいろどり事業が始まってから、徳島県上勝町の老人医療費が激減し、老人ホームも閉鎖になったという事実を知ると、この会社はビジネス本来の事業目的に加えて、地域活性化という第三セクターに課された課題まで見事にクリアーしていることがわかります。

私も、この「いろどり事業」に参加しているおばあちゃんたちの生き生きとした目の輝きを見ていて、胸が詰まる思いでした。

二宮尊徳の言葉に、

道徳なき経済は罪であり、経済なき道徳は寝言である。

というのがあるそうです。
日本のお役所も「行政経営」などという言葉を聞くようになって久しいですが、二宮尊徳の言葉を実践できている自治体はどれほどあるのでしょね。

と、最後はお役所への注文になってしまいましたが、今回のトップマネジメントセミナーは本当にいい勉強になりました。授業をしていただいた慶応大学の奥村教授にも「君は昨年もいたラトガース大の・・・」と覚えていただけていて本当に光栄でした。

挨拶をされる小川社長

こんな素晴らしいセミナーを開催してくれた大津屋の小川社長やスタッフの方々に本当にお礼を言いたい気持ちでいっぱいですし、こんな企業が私の住んでいる福井にあることが本当に誇りに思えます。

いろいろと案内していただいた大津屋のスタッフ:山内さん

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このページは、sawazakiが2008年8月 7日 01:18に書いたブログ記事です。

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