FD活動の変化を巻頭言から比べてみました – 大学教育に対する考え

FDという言葉、ご存じでしょうか?

大学関係者であれば、「あぁ、FDか、、、」とすぐわかるのではないかと思いますが、FDとは、Faculty Developmentの略で、主に大学教員が授業内容やその方法などを改善し、向上させるための組織的な取り組みのことを言います。

具体的には、授業改善や授業手法などに関する研修会などがあげられますが、これらを組織的に実施することは、大学教育の質保証という点では重要です。文部科学省の大学設置基準により義務化もされており、「あたりまえ」に実施する必要があり、かつ、全ての大学に実施のためのFD委員会等の組織が存在することになります。

そして私も、現在の勤務校で2021年度からFD委員長をしています。もう5年。そして4月からは6年目に。

 

定期的な振り返りと自問自答を

昨年度は自分たちが行ってきた活動、特にFD活動のオンライン活用を教育系の学会で発表させていただく機会も得ました。それはPRというよりも、自分たちの実行してきたことをある程度まとめ上げて、振り返り、かつ、独りよがりな活動になっていないか等を自問自答するためでもあります。また、年度末には学内のFD活動報告書をまとめており、それらも1年の活動を振り返るいい機会になっています。

先日、2025年度のFD報告書を完成させましたが、毎年そこに委員長として巻頭言を書いています。ふと、過去に何を書いたか気になったので読み返してみましたが、こういうところにも自分の中での変化があらわれます。これら変化を自問自答するという意味も込めて、かつ、こんな思いで大学教育をやっているのだということを知っていただきたく、ここ3年をこちらで比較してみたいと思いました。

 

2023年度(令和5年度)の巻頭言

無理なく、地味に、でも、着実に

 福井県が示したキャッチフレーズ「地味にすごい、福井」。確かに、本学が位置する福井県は、これまでも、全国的に目立ったようなところもありません。しかし、一つひとつの取り組みや地域の暮らしを丁寧に見ていくと、沢山の日本一が存在します。だからこそ、全国的にも幸福度が高く、住みやすいといわれるのかもしれません。そのようなニュースを目にしたとき、FD活動も同じようなものかもしれないと感じました。大学における活動の中で表舞台に出ることは稀です。一方で、これら地道な活動なくしては教育の質は担保されません。表題の「無理なく、地味に、でも、着実に」は、そのような思いを込めた2023年度のFD委員会の基本方針でした。そして、本学のFD活動は、全学的かつ日常的な取り組みとして、全ての教員に、あたりまえのように深く浸透していると感じています。

 

2023年度は、コロナ禍での新たなFD活動の一環として、2021年、2022年度に続き、優秀教員として表彰を受けた数名の先生方のインタビュー動画の作成を行いました。その際、授業での工夫について語っていただきましたが、どの先生方も授業資料を手づくりし、学生の学びを中心に据えた創意工夫があったことが印象的でした。既存の資料などを引用することも手間を省くという意味では大事ですが、一方で、その先生ごとの個性豊かな授業は、先生方の話術に加えて、板書や資料にもあると感じます。もちろん教育の質は等しく担保される必要があり、そのためのFD活動でもありますが、担当される先生ごとに個性豊かな教材があることも教育の質に大きく寄与すると思うのです。また、秋には4年ぶりに公開授業週間を設定し、対面での授業見学も行いました。

 

今後も、地味ながら着実に進化するFD活動をとおして、教員も楽しみながら授業の質向上を目指せたらと思います。ご協力よろしくお願いします。

 

令和5年度 FD委員長 澤崎敏文

 

2024年度(令和6年度)の巻頭言

「シン・カン・セン」でスマートなFDを

 2024年3月、福井県にも待望の北陸新幹線がやってきました。この1年間、何度か利用する機会がありましたが、そのスピードもさることながら、これまでの列車とは違う視点から見える景色が新鮮でした。全て高架橋による走行のためか、普段見ている景色よりも少しだけ高く、かつ、遠くまで見渡すことができます。こうやって視点が変わると、普段気が付かないことも見えてきます。大学教育におけるFDも同様ではないかと感じました。独りでは、自身の授業の改善点、そして、良い点などは見えにくいもの。FD活動をとおして教職員全員が相互の気づきを共有できるようなかたちであれば、新たな発見もあるのではないかと感じています。

 

実は、表題の「シン・カン・セン」は、2024年度のFD委員会基本方針でもありました。「化する学びへの境適応、そして進的な取り組みを無理せず、着実に取り入れる!」という少し長いキャッチフレーズ、これらを略して「シン・カン・セン」。

 

教員・職員が連携・協働で、継続的に授業改善していくための活動となるように、教職員全員で取り組める意識づくり、環境づくりを目指しての活動でした。そして、本学のFD活動は、全学的かつ日常的な取り組みとして、全ての教員にあたりまえのように深く浸透していると感じています。
新幹線ほど高速ではないにしろ、着実に進化・前進するFD活動をとおして、教員も楽しみながら授業の質向上を目指せたらと思います。ご協力よろしくお願いします。

 

令和6年度 FD委員長 澤崎敏文

 

2025年度(令和7年度)の巻頭言

FD活動の変化を楽しみ ひらく、ここから

 2025年度は、本学の開学60周年にあたる節目の年でした。人間でいえば還暦です。60年という言葉は短くとも、半世紀以上にわたる歩みを思うと、その積み重ねが「伝統」として受け継がれてきた重みを改めて感じます。

 

私自身も半世紀を生きてきましたが、年齢を重ねる中で多くの経験を得られた一方、気づけば変化にうまく対応できず、古い考え方ややり方から抜け出せない自分に出会うことも少なくありません。生物学やビジネスの世界でよく引用される「生き残ることができるのは、変化に対応できた者だけ」という言葉は、まさに絶えず変化する時代の中で教育・研究の現場が歩んできた姿そのもののように思えます。

 

近年では教育DXが叫ばれ、生成AIが教育分野に本格的に入りつつあると話題になっています。しかし振り返れば、教育現場にはこれまでもビデオ教材などのAV機器が導入された時代、ワープロやパソコンが普及した時代、そしてパソコンがインターネットにつながり、教室にもネットワークが整備された時代と、節目ごとに新しい技術が次々と入ってきました。そのたびに私たちは試行錯誤しながら対応し、教育の形を更新してきました。こうした不断の対応があったからこそ、今の教育があり、これからも変化に向き合い続ける必要があります。

 

仏教には「無常」という言葉があります。すべては絶えず変化するという教えです。であれば、その変化を恐れるのではなく、むしろ楽しんで受け止めたい。これが本年度のキャッチフレーズに込めた思いでした。変化を前向きに捉え、教育改善に教員・職員一人ひとりが主体的に取り組めるよう、FDは開かれた場であり続けたいと考えています。

 

今後とも、みなさまのご協力をよろしくお願いいたします。

 

令和7年度 FD委員長 澤崎敏文

 

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