全国初の新しい自治制度 - 伝統的な地方自治への挑戦
今週末、農業や環境への先進的な取り組みでも知られる福井県池田町がまた新しい制度を立ち上げました。
その名も、池田町まちづくり自治制度です。
この制度、ここ数年、自治体関連で注目を集めている「ふるさと納税」をさらに発展させた制度で、寄付を行った人たちの中から希望者6人を選出して、寄付されたお金の使い道を決めていくというもの。
本来、自治体はそこに住む人たちの自治というものがあり、その土地に物理的に住んでいるという関係を前提に地方自治が語られてきました。ですが、池田町の「まちづくり自治制度」は物理的に住むという、伝統的な地方自治の在り方を根本的に考え直させる制度となっています。
こころの古里を制度化 - バーチャル町民の誕生か?
自分が心のふるさとと思える土地に対して寄付や税金を払い、住んではいないけど、一納税者としてその自治に参加する。遠隔地であることばかりが強調されがちですが、自分たちのおさめたお金を自分たちで決定するという民主主義の原点がそこにあります。
そして、その結びつきは物理的に居住しているという制約を離れ、「こころ」がその土地「池田町」にあれば、離れていても池田町民であるという新しい住民のあり方を提案しているように思えます。そういった意味で、この制度は非常に注目に値しますし、今後の地方自治体の在り方にも大きな影響を与えそうです。
古くからある考え方では「心のふるさと」などという言い方をしますし、イマドキであれば「バーチャル住民」ということになるのでしょう。この二つの考え方を一度に実現すると、池田町の「まちづくり自治制度」になるのでしょうね。
みんなのお金を「自分たちで決める」本当のまちづくり。
池田町の公式ページには「みんなのお金を自分たちで決める本当のまちづくり」と説明がなされていました。
「小さな田舎町だ」とステレオタイプな見方をしてしまいがちですが、日本の自治体の活路を開くためのヒントは、実はこのような町に沢山あるのだと思い知らされる制度でした。たくさんの寄付が集まり、活発に議論した成果がどのようにあらわれてくるのか、今後も目が離せません。