福井県美浜町でミサイル着弾のニュースが
夕方のニュースで「ミサイル発射情報、当地域にミサイルが着弾する恐れがあります」と聞こえてきたときには一瞬耳を疑いましたが、そのような「誤報」があったというニュースにホッとしました。
最近では実際にミサイルが飛ぶことも想定外ではなくなってきたため、冗談で済まなくなってきていますが、同時に、このような誤報も増えてきているような気がします。
以前も、福井県の災害をメールでお知らせするシステムで「○○地域で爆発」といった誤報メールが一斉送信されたことがあります。このようなミスはどうして起きてしまうのでしょうか?
危機管理 - 単なる「ヒューマンエラー」が命取りに
以前、ある組織の内部ネットワークを管理している仕事をしていたのですが、その時に、内部からDOS攻撃かと思えるほどのメールをメインのメールサーバー(内部)に受けたことがあります。結局、ある業務システムをメンテナンスしている事業者が、誤って大量のメールを自動送信してしまったということが後からわかったのですが、その時の事業者からの報告が「単なるヒューマンエラーでした」というものでした。
事故の6~8割はヒューマンエラーが原因
ヒューマンエラーなんていうカタカナを使うと、なぜか煙に巻かれたような感じがして、実感が飛んでしまうのですが、要するに「人的ミス」ということです。
大きな事故の原因のほとんどがニューマンエラーに起因するといわれています。実は、それほどこのヒューマンエラーというのは真剣に取り組まなければならない問題なのです。
先ほどのDOS攻撃もどきであった「単なるヒューマンエラー」という表現から、人は人的ミスをあまり重視していないのではないか?そんな風に感じました。今回の福井県美浜町のメールの誤報も、システム再起動時に定型音声の一つが再生されたとのことですが、再起動が直接の原因ではなく、その前に何らかの操作ミスがあったことは容易に想像できます。
この手の事故は人のミスが原因だとしたがらないのが人の心情だと思いますし、もし人的ミスが原因であることが分かっても、「単なる」ミスとして処理したい。そういう人情が働くことは自分も同じ人として理解できます。
その一方で、人的ミスに正面から向き合うことも大事なこと。このヒューマンエラーをできるだけ少なくすることで、かなりの事故を未然に防ぐことが可能だと言われています。これを統計的に調査した結果がハインリッヒの法則です。
ハインリッヒの法則
詳細はウィキペディア等にあるので、一部それを引用させていただきましたが、要するに、実際には事故が起こりえる「ヒヤリ」が数多く存在し、それが最終的に大事故につながっていくことがある程度統計的にも証明されているのです。
引用(一部):Wikipedia
「災害」について現れた数値は「1:29:300」であった。その内訳として、「重傷」以上の災害が1件あったら、その背後には、29件の「軽傷」を伴う災害が起こり、300件もの「ヒヤリ・ハット」した(危うく大惨事になる)傷害のない災害が起きていたことになる。更に、幾千件もの「不安全行動」と「不安全状態」が存在しており、そのうち予防可能であるものは「労働災害全体の98%を占める」こと、「不安全行動は不安全状態の約9倍の頻度で出現している」ことを約75,000例の分析で明らかにしている(詳細はドミノ理論参照)。なお、ハインリッヒは「災害」を事故と事故を起こさせ得る可能性のある予想外で抑制されない事象と定義している。
エラーを憎んで人を憎まず
大事なことは未然の防止であり、そのミスがどういう理由で発生して、どのようにすれば防ぐことができるのか、ということをしっかりと見つめて行かないと、ミスはなくならないのでしょうね。ヒューマンエラー学といいうサイトでは、ヒューマンエラーについて詳細な説明がありますが、そこでも、ヒューマンエラーに関する研究はそれほど進んでいないと書かれています。
人が原因だとわかると、ついついそのエラーを起こした人を責めてしまいがちになるため、どうしてもそのような結論づけや研究が進まないことは容易に想像できるのですが(特に、日本では)、事故の6~8割がヒューマンエラーに起因するという現状を考えると、やはり、その原因をしっかりと研究して行く必要があるのでしょうね。
その時には、もちろん、「エラーを憎んで人を憎まず」の精神が大切なのだと思います。 その前に、福井県内の災害警報システムがオオカミ少年化しないかはもっと心配なのですが(笑)